浦島太郎の随想

浦島太郎の随想 - 物理屋の妄想タイム

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竜宮城で貰った玉手箱をうっかり開けてしまった浦島太郎ですが・・・その後もしぶとく生き続けてネバーランドに流れ着き、
若い人々と物理学を楽しむ日々を送っています・・・

教員視察団(5)

 「教員視察団(4)」から続く

 

・・・パーティは、日本側の英語教員の司会で始まった。

数少ない若手教員の一人である。米国に1年、語学留学していたとのことで、しっかりした英語を話す人だった。

  

 

英国人のスピーチ

 

 司会の英語教師は、簡単な挨拶を述べると、最初に地元の教員の一人に、スピーチを求めた。

 

これは事前に打ち合わせが無く、突然振られた様子だったので、私は冒頭から緊張した。パーティの性格にもよるが、スピーチは彼等が重きを置くところで、誰しも準備には大変気を使う。事前に依頼しておかなければいけない。

 

スピーチは、一定の条件を満たす必要がある。

 

長すぎてはいけないが、内容が空虚ではいけない。

深刻にならず、人を楽しませる。不真面目な話ではいけないが、ユーモアが求められ、退屈させることはNGである。

最後には、落語のような、気の利いた「オチ」が要る。

 

そしてもちろん、話題は、パーティの趣旨に相応しいものでなければいけない。

 

このパーティは、両国の親睦が目的と言えるが、日本人がゲストとあっては、当時は難しい所だったと思う。

 

当時、ヨーロッパの各国は、大量の made in Japan による貿易不均衡に苦しんでおり、その点では、日本に対する国民感情が良くなかった。 指名された男性は困った様子であったが、さすがに人々に話すのを仕事とする教員である。考えながら、ゆっくりであったが、見事に役を果たした。 

 

卑屈にならずに、自分自身を上手に笑いの対象にするのが、英国流ユーモアの一つのパターンである。敢えて「made in Japan」を取り上げた。

 

  「英国人は愛国心が足りない、もっと英国製品を買うべきである・・・

   もちろん、英国人の生活は、向上すべきではあるが・・・」

 

などと微妙に自虐ネタを散りばめ、最後はささやき声で、

 

  「それで私、ここだけの話ですが・・・先月、 日本車を買いました・・・」

 

と結んで、笑いを取った。

 

 

続いては、日本側の番である。オトメの隣に座っていた校長先生が立ち上がった。

 

(続く)