浦島太郎の随想

物理屋の妄想タイム

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2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

戦後教育の変遷7ー入学試験

第5回の記事で、「日本の学校教育の中に結果平等主義が持ち込まれた」と書いたが、戦後の学校教育には、これと決して相容れないものが、すでに早い時期に生まれていた。受験競争である。 平等主義と入学試験 入学試験の合否に結果の平等は無い。手をつない…

奇跡のリレー 5

(前回から続く) 帰国 その後、私は日本に職を得て突然帰国することになった。その慌しさのため執筆はさらに遅れ、結局その2編を書き上げたのはオーストラリア人の訪問から約半年後のことである。出発の直前になっていた。 母国に常勤の職を得たことをY教授…

奇跡のリレー 4

前回から続く 綱を渡り切って・・・ しかし、無理やり始めてみると、書きながらの作業は悪くなかった。 途中で誰かに読まれても良いように、客観性を意識して書いていたため、考えが良く整理される。日頃の研究の進め方が、いかに緻密さを欠いていたかに気付…

奇跡のリレー 3

前回の記事から続く 保管していたメモから 実はこの計算メモは、私にとって特に重要なものではなかった。失くしていたことさえ、気が付かなかった程である。少し気になることがあったので、確かめるために行った計算であり、私はこのようなメモは、自分が納…

奇跡のリレー 2

前回から続く 街の中で紛失した所有者不明の計算用紙が、わずか2時間のうちに自宅まで届けられたのである。私の仕事が、この社会でこれほど大切に扱われているとは、思いもよらぬことであった。この事件は、それまで英国の社会のあり方、とくに教育について…

奇跡のリレー 1

届けられたメモ 「ハロー、ドクター・ウラシマ !」と帽子をとり、にこやかに挨拶した制服姿の初老紳士が、私の勤める大学で時々顔を合わせる主警ガードマンであったことを思い出すまで、しばらく時間がかかった。 金曜日の夕方、いつもより早めに帰宅してい…

ビールこぼれ話3

英国滞在記のカテゴリーで「ビールこぼれ話」のシリーズを書いた。このとき、ビールの話は終わりにすると書いたが、英国滞在記とは別にもう一つ。 オーストラリアのビールとY嬢 以前、オーストラリアのスコーンを貶してしまったので、ここでは彼等のビールを…