浦島太郎の随想

浦島太郎の随想 - 物理屋の妄想タイム

~記事へのコメントは歓迎です~

竜宮城で貰った玉手箱をうっかり開けてしまった浦島太郎ですが・・・その後もしぶとく生き続けてネバーランドに流れ着き、
若い人々と物理学を楽しむ日々を送っています・・・

英国滞在記

無意味なことをする理由・させる理由(4)

前回から続く 仕切り直しをして、 無意味な仕事の分類学の続きを試みよう。 無意味と決めつけることは言い過ぎとしても、しない方が良い、あるいは、しなくても良い、という仕事は、日本の社会では山ほどある。 見栄のための仕事 第2回の記事で、私の「綺麗…

無意味なことをする理由・させる理由(3)

シリーズの(2)から続く 「しなければならない仕事」だけで済ませ、他をすべて「してはならない仕事」とする英国流の社会人生活が板に付いた頃、私は帰国して、地方の国立大学に勤めることとなった。 それまでやっていたことを、やらずに済ませる・・・ こ…

無意味なことをする理由・させる理由(2)

(1)から続く 初回の記事に戻るが、セミナートークにおいて ・予備知識がなければ理解できない話をする。 ・聞き手の集中力が切れてからも、だらだらと話を続ける。 ・形式美に手間をかける。 彼等の基準では、いずれも無意味な行為である。 習慣による無…

無意味なことをする理由・させる理由(1)

このブログで、私は社会で行われている様々な種類の無意味な行為について、色々な場面で愚痴をこぼしてきた。我ながら、やや頻度が多すぎた気がするが・・・ 事実として、歴史的にも、無意味な行為は多かった。論語読みの論語知らずからはじまり、深刻な例と…

英国の季節感2

(前回から続く) 英国において、季節の区切りが感じられる節目は、イースターホリデーとクリスマスである。イースターでは実際に季節が変わる感覚があるが、クリスマスは、むしろ精神的な節目である。 イースターホリデー イースターの時期は年により変わる…

英国の季節感1

日本は四季の区別がはっきりしている。 春と秋は独立した固有の季節であり、単に冬と夏の中間ではない。 春の空は霞がかり、空気は穏やかで肌に優しい。 秋は天高く、空気は引き締まり、優しいというよりは爽やかである。 春と秋では、風景は全く異なる。花…

英国の自然

以前、英国の文学について感想を述べたが、私のイメージの中では、英国人の文学に感じられる寒々しさや無常感は、英国の自然と結びついている。アーサー王やロビンフッドなどの伝承的な物語や、ドラマや映画にも、同じものを感じる。独特の土臭さや時間の流…

英国人の文学

以前の記事で、英国人は学校教育で文学を取り上げない、と紹介したが、もちろん英国に文学が存在しない訳ではない。 私は青年期に達してからは、文学にたしなむ時間をあまり持てなかったので、英文学に限らず、読んだ作品は極めて少ない。が、その範囲での印…

日の昇る国への羨望と失望

これは「英国人の読解力と国語教育4」からの続きである 。 ある古い映画の再放送を、白黒で観た。喜劇役者として有名な俳優が主人公になり、ヒロインの女性を守りながら、海賊船の中で逃げ回る。片腕がフックの義手になっている船長を縛り上げ、彼に似せた…

英国人の読解力と国語教育4

前回から続く ・・・コンピュータのマニュアルを読むのは気が重く、私は完成目前の研究を、しばらく中断させていた。いつまでもレポートに取り掛からない学生の心境に近かったと言える・・・ 快適なマニュアル そうこうしているうちに、夏休みに入り、Y教授…

英国人の読解力と国語教育3

前回までは言葉から情報を受け取る場合の話をしてきたが、情報を発信する場合の話を少し書こう。 日本の憂鬱なマニュアル 私は、研究でコンピュータを使わなければならないことがある。しかし正直なところ、若い頃は、出来ればこれを避けたいと思っていた。 …

英国人の読解力と国語教育2

前回より続く 語学研修の体験は、笑い話として済ますわけには行かなかった。私と家族は、この社会の一員として、生きて行かなければならない。このとき、私は英国に永住する覚悟であった。こんな行き違いが頻繁に起こっては、大変に危険である。 真相を確か…

英国人の読解力と国語教育1

「言葉の重要性4」から続く 上の記事において、言葉は感情を伝える手段ではなく、情報を伝える手段である、と書いた。 もちろん、これは学問の世界の話で、言葉には両方の役割がある。そして、感情と情報の区別は必ずしも明確ではない。さらに言葉には、文…

英国の鳥(4)

前回は、キャンパスの池に住むアヒルの行動について書いた。ゲストハウスの住人が餌付けを始めたため、毎朝、湖水からアヒルが行儀良く、列を成してやって来た、という話であるが・・・ カモメのホバリング アヒルだけではなかった。 間もなく、湖水からは、…

英国の鳥(3)

湖水のゲストハウス カメ吉が生まれ、オトメと2人して私に合流してからは、私は下宿暮らしを卒業し、大学のゲストハウスに住めることになった。 この大学は、恵まれた環境にあった。敷地に隣接していた小さいゴルフコースを、政府が買い取ってキャンパスを…

英国の鳥(2)

前回の記事で、英国では人々が鳥を大切にするため、鳥が人を怖れない、ということを書いた。英国の鳥はその他の点でも、行動様式がかなり変っている。 鳥の交通事故 動物が交通事故の犠牲になることは、どこの国でもある。 日本では猫が犠牲になることが多い…

英国の鳥(1)

人間を怖れない鳥 英国を初めて訪れた日本人が必ず驚くことの一つは、鳥が、人を殆ど怖れないことである。日本人の集まりに新顔が加わると、一度はこの話になる。 日本の鳥がすぐ逃げるのは、人がやたらに鳥を追い廻して、警戒心を抱かせてしまったのだ、と…

英国の虫

計算する時 最初から脱線した話で恐縮だが、物理屋は計算をするとき、多くの記号を使用する。 a,b,c・・・i,j,k・・・x,y,z というアルファベットである。 アルファベットの前半は定数、後半は変数と、用途が習慣的に決まっている。途中の i からnまでの6…

「常識」という名の同調圧力

パーティの話題 英国滞在中に、C教授の主催するパーティに何度か招かれた。C教授は私のボスではないが、私とは非常に懇意であった。 その席で、ハンガリー語とフィランド語が良く似ているらしい、ということが話題になったことがある。両国は距離的に離れて…

英国人の計算能力

英国に渡る前に、英国人は暗算ができない、という話を、多くの人々から聞いていた。実際に滞在経験のある、大学の人々からである。 良く聞かされていたのが、引き算ができないので、釣り銭の計算に足し算を使う、という話である。 日本円で説明すると、例え…

英国の暮らし - 職場の英国人

前回、英国人が怠け者というのは間違った判断である、と書いたが、英国で暮らした経験のある日本の人々は、大半が同意しないであろう。確かに、これだけ家庭の仕事があると、職場の仕事は手抜きとなる人も多い。職場での英国人の多くは、日本人の目には確か…

英国の暮らし - 英国人は怠け者か?

英国人の家事労働 35年以上も昔の話であるが、当時ヨーロッパ人は、日本人を「ウサギ小屋に住む働き中毒」と評していると伝えられていた。これに対して日本人はヨーロッパ人を「休暇ばかり取っている怠け者」と考えていたようである。 しかし「ウサギ小屋…

英国の暮らし - 住宅編3

住宅のメンテナンス イギリスの人々は、 ペンキ塗りや屋根裏の修理、朽ちた軒先の補修など、家に関する殆どのことを、自分で行う。 中古住宅の価値が下がらないのは、人々がメンテナンスのための労を惜しまず、また常に支出して、家屋を維持しているからであ…

英国の暮らし - 住宅編2

住宅(建物)の種類 英国の住宅は、ロンドンなど大都市では日本のマンションのような大型アパートもあるが、多くは「戸建て」である。 普通の一戸建は、detatched houseと呼ばれる。次に、2軒の家が壁1枚を共通にしたツイン住宅があり、semi-detatched hou…

英国の暮らし - 住宅編1

以前の記事で、英国では誰でも家が持てると書いたが、政府はどのような政策を実行しているのであろうか? かつて英国には、「揺り籠から墓場まで」と謳われた、手厚い福祉政策があったが、住宅政策にその名残りを強くとどめている。 ホームレスを禁ずる国 英…

英国の暮らし - 財布事情と優先順位

お金を使う際の優先順位は、人生の優先順位を反映する。 私の観察では、英国人の場合、階級によらず 1.住宅 2.バカンス 3.食事 4.衣服 5.教育 の順になっている。日本人とは、ほぼ順序が逆の感がある。 1.住宅 住宅の順位が高いのは、誰でも家を…

英国の社会 - 中流階級と労働者階級2

1から続く デスクワークは人生ではない 2つの階級には、それぞれ帰属意識がある、と書いたが、そのルーツは民族差だと聞いたことがある。歴史に詳しい方がおられたら教えて頂きたいのだが、征服民族と被征服民族、ということらしい。それが様々な考え方の違…

英国の社会 - 中流階級と労働者階級1

英国は昔から、階級社会と言われている。それについては多くの人々が、様々な分析や考察をしていると思うが、私は生活感覚としての階級社会を、紹介したい。主に私の若い頃の話なので、現在は少し変わっているかもしれないが、英国の社会の変化は、それほど…