浦島太郎の随想

物理屋の妄想タイム

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食文化の関西化2ー  担担麺とコーヒー

 

 

前回の記事で、私は弁当持参で仕事場に向かうと 書いたが・・・

 

 

コンビニ饅頭

 

オトメの体調がすぐれない日や、彼女が弁当を作る時間が無い日は、私は仕事場の近くで昼食を調達する。

 

先日はこのような日であったので、私はコンビニで簡単な昼食を購入した。

 

レジの近くに、中華饅頭のケースがある。

肉饅、あん饅・・・そして最近ではピザ饅などが並んでいる、ガラスの保温ケースである。

 

支払いをする際に、そこで私の好物である「黒胡麻あん饅」が目に入った。表面の皮が白色ではなくグレーなので、一目で判る。

 

前回の記事に書いたが、私は甘いものが嫌いではない。甘すぎる味付けの「食事」が嫌いなだけであり、スイーツは別腹である。この日の昼食は簡素になったので、スイーツで華やかにしようと、私はこれを注文に加えた。この商品は売り切れている時が多いので、ややラッキーと思えた。

 

食後にはコーヒーを飲むが、コーヒーとあん饅の組み合わせは悪くない。それなりに楽しみである。さらにその日、私はウン十年ぶりにブルーマウンテンの豆を購入していた(別の店で4割引きの目玉商品に出会い、思わず購入した)。

 

注文の際、レジの店員は外国人であったので、私は言葉を交わさず、グレーの饅頭を黙って指さした。

 

 

何でもござれ

 

仕事場(私は研究室と呼ぶ)に戻ると食事を済ませ、ブルーマウンテンを手動のミルで丁寧に挽く。そして最大の注意を払ってドリップし、至福のカップを用意する。

 

そして・・・喜びの一口をすするか、その前に「胡麻あん」を口に運ぶか・・・

 

私は胡麻あんを選んだ。

 

と思ったが・・・

 

胡麻あん」ではなかった。

 

初めての味である。まず、その辛さに驚いた。中華風のピリ辛である。

 

良く見ると、「黒胡麻あん饅」ではなく、「黒胡麻坦々饅」と書いてある。

 

何時から、こんな商品が売られていたのか?

 

外見では区別がつかない。字を見ても、老眼鏡をかけなければ見分けがつかない。

レジの店員が外国人でなければ、こんなことにはならなかった・・・

日本語が堪能だったかもしれない。言葉で示せば良かった・・・

 

仕方がない。デザートではなく、食事の延長である。私は不満を訴える別腹を何とかなだめ、嫌がる本腹を、もう一度、働かせることにした。

 

食事の一品と思えば、別に不味くはない。私の好物にはなりそうもないが、若者には人気のヒット商品かもしれない。

こんな奇想天外なものを考え出すのは、やはり・・・

少なくとも、私のような行儀のよい江戸っ子には・・・

 

しかし、それにしても辛い。

心構えの無いときに不意を突かれたせいもあるが・・・

食後のつもりのコーヒーカップに、つい手が伸びた。

 

 

もはやコーヒーの味ではない。

 

饅頭とコーヒーを交互に口に運んでいると、次第にコーヒーが、担担麺のスープのように思えてきた。

 

私はコーヒーに砂糖は入れないが、クリームを入れる。そのマイルド感が好きなのだが、今はそれが味噌味のように感じられる。辛さで舌が麻痺するにつれて、その感覚が強くなった。

 

食事の延長タイムが終了する頃、私のブルーマウンテンは、完全に路地裏担担麺のスープと化した。不思議とマッチしている。

 

ふと私は、もしかしたら、担担麺の隠し味に、コーヒーとクリームを使うのは有効ではないか、と考えた。色彩的にも隠し味と言える。

 

 

まあ、こうなりゃ、何でもござれで良い。どうせ私が生きている間に外食産業が正常化することは無いだろう。私にとっては、コーヒー味の担担麺でも、甘すぎる食事よりはましである。飲食店経営者の方々は、一度、試してご覧になっては如何だろうか?